会社はバウムクーヘンをもらうところ

バウムクーヘンを頻繁にいただく。引き出物とか、オフィスオープン記念品とか、みな経験したことがあるのでは。ずしっとした紙袋を水平を保ちつつ家路に着くと、まさかまたバウムクーヘンかと思い、思いながら開封するとバウムクーヘンである。年輪のようにとかよく言う、バウムクーヘン屋はこうして売り上げを伸ばしているのか。

なんでもそうやって縁起に結びつけたら売れるのか。わたしだったらレーズンバターサンドが良い。レーズンバターサンドだって、「輝く個人を各レーズンに見立て、バターでまとめあげているところは個と組織・ブランドの強固な関係性のマリアージュをうんぬん」的な話ができる。縁起ってそういうことでは。ちがうか。

大学一年生の頃、「会社はバウムクーヘンをもらうところ」だと気づいた。でもその頃はバウムクーヘン文化の話とかを知らなかったので、てっきり父と姉の会社の偉いひとが奇遇にもバウムクーヘン好きという共通点があるんだと思っていた。当時つくらなきゃいけなかったZINEにもそうやって書いていた。いま思い出すとちょっと自分が面白い。それはそれで良い気がする。いつかこの文章も思い出して笑うんだろうか。それはそれでまた良い気がする。

姉から連絡がきた。オペラを観たいとかセルフのジェルネイルが上手くいったとか、他愛のない内容。最後に年末年始の帰省について触れられ、あ、こっちが本題だったかと思った。やりとりしていくなかで言ってくれたひとことが、やさしくてあたかかくてしばらく涙が止まらなかった。姉。優しくて聡明で生真面目で細やかな姉。

今日ははじめて「クララ」というお酒を飲んだ。ビールとセブンアップを割ったものらしい。さわやかで甘くて苦くておいしい。ビールカクテルが好きな気がする。にがくて、と打つとiOSだと「長くて」に変換される。とここまで書いたところで眠り、今日はその翌日ということになる。起きたら顔がものすごく浮腫んでおりひどい有様だった。お酒で顔が浮腫むって話には聞いていたけれど、ほんとにあるんだ……。

 

 

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