白い服きてナポリタン食べるとき、エプロンをかけてくれる人

服のことがまだ好きだったときの一着を処分することにした。もうヨレヨレのヨレだから。

その服は古着屋で買った。一目見たときから自分に似合うことがわかって、パッと生活を明るくしてくれることがわかった。落ち着いた、でも印象のある青色のワンピース。首元がぐるりと綺麗に開いているところと、膝が隠れるくらいの丈というところも好きだった。

背中から腰まであったボタンは自分でつけ替えた。母の大きな裁縫箱からもらって、青色がいちばん映える金色のボタンを縫いつけた。カヌレみたいなちょっと厚みのある丸っこいボタン。イスに腰掛けるとごりごり背骨に当たったが、そんなことも瑣末に思えるほど気に入っていたよ。

いろんな場所に着ていった。大学も着たし、旧友に会うときも着た。脱ぎ着がラクなのでアルバイトに行くときも着ていたかもしれない。会社に入ってからも着たし、デートのときも着た。ちょっときちんとした感じにもできるし、色があるので着るのが楽しかったな。週一くらいで着てたかもしれない。

カーディガンを羽織るのもよかったし、スカーフを巻くのも良かった。パンプスでも良かったし、靴下とスニーカーでも良かったし、華奢なサンダルでも良かった。バックパックでも良かったし、小さなショルダーバッグでも良かった。青色と金色のことを考えて、あれこれ組みあわせるのは楽しかったな。ペチコートを着ないと透けるが、それも涼しくて良かった。すべて過去形の文章だなあ。

服とのお別れはいつも、さみしいのとせいせいするのと両方の気持ち。また青色のワンピースに出会えるといいな。金色のボタンはまた外して裁縫箱にとっておく。 

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こんな写真しかなく、せっかくの青色はよくわからない。

 

 

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